第259章

根本山蔵という男は、野呂栞という人間を骨の髄まで理解している。そう言って差し支えない。

もし栞が自分の出自を知ったら――藤原邦達を包丁で斬りつける程度なんて、まだ可愛いほうだ。栞の人生そのものに、取り返しのつかない傷が残る。

島宮奈々未は黄ばんだ写真を指先でつまみ、口元だけを歪めた。

「ヤマネコおじさん、ほんと不義理。こんな厄介ごと押しつけて……何十年も黙ってたなら、最後まで黙ってりゃよかったのに。どうして私に言うの?」

告げるのも地獄。告げないのも地獄。胸の奥に刺さった棘は、放っておけば腐っていく。

……どうしたらいいのよ。

根本山蔵は、諦めを含んだ笑みを浮かべた。

「俺ぁも...

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